「タイで不妊治療を受けたら、日本の健康保険は使えるの?」
バンコク不妊治療ナビでも、とても多くいただくご質問です。
結論からいうと、タイでの不妊治療は基本的に自由診療で、全額が日本の健康保険で戻るわけではありません。ただし、日本の健康保険に加入したままタイに滞在している方は、治療内容や薬によって「海外療養費制度」の対象になる可能性があります。
さらに、民間の医療保険や勤務先の福利厚生、駐在員規程で一部補助を受けられるケースもあります。この記事では、タイ在住の日本人、特に駐在員ご家庭が確認しておきたい制度を整理します。
日本にお住まいの方が治療目的でタイへ渡航した場合、海外療養費制度は支給対象外とされています。また、支給可否は健康保険組合や保険会社ごとに判断が分かれるため、最終的には必ずご自身の加入先へ確認してください。
まず結論|使える可能性がある制度
| 制度 | 使える可能性 | 確認ポイント |
|---|---|---|
| 日本の健康保険 海外療養費制度 | 一部戻る可能性あり | 日本で保険適用される治療・薬に相当する部分のみ。全額は戻らないため、加入先への事前確認が必要です。 |
| 日本の民間医療保険 | 契約内容による | 採卵や胚移植が手術給付金の対象になる場合があります。海外治療が対象かは約款確認が必要です。 |
| 会社の福利厚生 駐在員規程 | 会社による | 不妊治療補助、妊活支援、海外赴任中の医療費補助の対象になるか確認します。 |
| タイの社会保険 現地医療保険 | 原則対象外 | 不妊治療は対象外とされるケースが一般的です。 |
全額をカバーできる制度は少ないものの、確認せずに全額自己負担にしてしまうのはもったいないです。
治療を始める前に、健康保険の加入先、民間保険、勤務先の3つを確認しておくと安心です。
1. 大前提|タイでの不妊治療は自由診療
タイの体外受精(IVF)や顕微授精(ICSI)は、外国人患者にとって基本的に全額自己負担の自由診療です。
- タイの社会保険では、不妊治療は給付対象外とされることが一般的です。
- タイで加入する民間医療保険も、不妊治療や妊娠出産を対象外としている商品が多いです。
- クレジットカード付帯保険も、妊娠出産や不妊治療は補償対象外になるケースが一般的です。
そのため、費用面で確認すべき中心は、タイ側の保険ではなく、日本側に残っている制度です。具体的には、日本の健康保険、民間保険、勤務先の福利厚生や駐在員規程を確認します。
2. 日本の健康保険|海外療養費制度で一部戻る可能性
海外療養費制度とは
海外療養費制度とは、日本の健康保険に加入している方が海外の医療機関で診療を受けた場合、申請により医療費の一部が払い戻される制度です。
駐在員ご本人だけでなく、日本の健康保険の被扶養者になっている帯同配偶者も対象になり得ます。タイに住んでいても、会社の健康保険に加入したままであれば、制度の確認をする価値があります。
なぜ「一部だけ」なのか
海外療養費は、タイで支払った金額の7割がそのまま戻る制度ではありません。対象になるのは、日本国内で保険適用されている治療に相当する部分です。
- 体外受精、顕微授精、人工授精など、日本で保険適用になっている治療に相当する部分は対象になり得ます。
- PGT-A、タイムラプス、日本未承認薬など、日本で保険適用外のものは対象外となる可能性が高いです。
- 支給額は、タイで支払った実費ではなく、日本で同じ治療をした場合の診療報酬を基準に計算されます。
- 薬や処置ごとに、対象になるものと対象外になるものが分かれる場合があります。
日本国内の保険適用と同じく、年齢や回数の条件が判断材料になる可能性もあります。体外受精や顕微授精では、治療開始時の年齢や胚移植回数の条件があるため、加入先へ事前確認しておきましょう。
タイ在住中に現地で治療を受けるケースと、日本から不妊治療を目的にタイへ渡航するケースは、制度上の扱いが異なります。支給可否は保険者によっても判断が分かれるため、必ず加入先へ確認してください。
加入先への確認先
| 加入している保険 | 確認先 | 聞くこと |
|---|---|---|
| 会社の健康保険 | 健康保険組合または協会けんぽ | タイでの不妊治療が海外療養費の対象になるか。必要書類は何か。 |
| 国民健康保険 | 住民票のある市区町村 | 海外滞在中の資格、申請可否、必要書類を確認します。 |
| 被扶養者 | 配偶者の勤務先または健康保険組合 | 帯同配偶者として海外療養費の対象になり得るか確認します。 |
申請に必要になりやすい書類
- 療養費支給申請書(海外療養費用)
- 診療内容明細書(Form A)
- 領収明細書(Form B)
- 領収書原本
- パスポートの写し
- 日本語以外の書類に対する翻訳文
バンコクの大きな不妊治療クリニックは外国人患者に慣れているため、英文の診断書や明細書の発行に対応できることがあります。受診時に「日本の保険請求に使うため、英文明細が必要」と最初に伝えておくとスムーズです。
3. 民間医療保険|手術給付金の対象になる可能性
日本で加入している民間医療保険では、採卵や胚移植が「手術給付金」の対象になる場合があります。ただし、海外で受けた治療が対象になるか、不妊治療を対象外としていないかは契約内容によって異なります。
- 不妊治療が給付対象に含まれているか
- 採卵や胚移植が手術給付金の対象になるか
- 海外で受けた治療も給付対象になるか
- 診断書や明細書の指定書式があるか
民間保険は商品ごとの差が大きいため、保険会社や代理店へ直接確認するのが確実です。治療後ではなく、治療前に必要書類を確認しておくことをおすすめします。
4. 会社の制度|福利厚生と駐在員規程も確認
不妊治療の福利厚生は増えています
日本では、不妊治療や卵子凍結への費用補助を福利厚生として導入する企業が増えています。妊活サポート、見舞金、外部サービスとの提携など、制度の名称や内容は会社によって異なります。
帯同配偶者の方でも、ご自身の勤務先に休職中の制度が残っている場合があります。就業規則、福利厚生ポータル、共済会や互助会の制度も確認してみましょう。
駐在員規程の医療費補助
駐在員ご家庭では、会社の海外赴任規程も重要です。日本で保険適用相当の医療費を会社が補助する規程がある場合、不妊治療がどのように扱われるか確認する価値があります。
- 不妊治療や妊活に関する補助金、見舞金、提携サービスはあるか
- 海外赴任規程の医療費補助に、不妊治療は含まれるか
- 帯同配偶者の治療費や検査費も補助対象になるか
- 申請に必要な診断書、領収書、明細書の指定はあるか
医療費控除について
日本の医療費控除は、日本で所得税を納めている居住者のための制度です。海外転出して日本の非居住者になっている方は、原則として対象外です。
ご夫婦の一方が日本で納税を続けているなど個別の事情がある場合は、税理士や税務署へ確認してください。
治療前に確認したい3点セット
- 健康保険の加入先:海外療養費で不妊治療が対象になるか、必要書類は何かを確認します。
- 民間医療保険:採卵や胚移植が給付対象になるか、海外治療も対象になるかを確認します。
- 勤務先の人事・総務:不妊治療の福利厚生や、駐在員規程の医療費補助があるかを確認します。
受診時には、英文の診療明細や領収明細を必ずもらっておきましょう。あとから取り寄せるより、受診時に依頼しておく方が確実です。
よくある質問(FAQ)
まとめ
タイでの不妊治療は自由診療のため、基本的には自己負担です。ただし、日本の健康保険、民間医療保険、勤務先の福利厚生や駐在員規程を確認することで、一部の費用が戻る可能性があります。
大切なのは、治療後ではなく治療前に確認することです。必要書類を事前に把握しておけば、受診時にクリニックへ依頼しやすくなります。
当サイトでは、タイ在住の日本人向けにSAFE Fertility Centerへの受診サポートを行っています。英文書類の依頼や受診前の確認事項についても、状況に合わせてご案内します。
免責事項
本記事は2026年7月時点の公開情報に基づく一般的な解説であり、支給の可否を保証するものではありません。海外療養費や給付金の支給判断は、各保険者・保険会社が個別に行います。制度は変更されることがあるため、必ず最新情報をご自身の加入先へ確認してください。
参考にした主な情報源
- 海外療養費|給付と手続き|協会けんぽ(全国健康保険協会)
- 海外で急な病気にかかって治療を受けたとき|全国健康保険協会
- 海外療養費|健康保険を知る・学ぶ|けんぽれん(健康保険組合連合会)
- 海外在住者と日本の医療保険,年金|外務省
- 海外駐在員と不妊治療保障|マーサージャパン
- 不妊治療の保険適用範囲が拡大!適用範囲や条件|太陽生命
- 民間医療保険で体外受精もカバー?給付金を徹底解説|はらメディカルクリニック
- ニッセイ 出産サポート給付金付3大疾病保障保険 ChouChou!|日本生命
- 不妊治療の福利厚生導入企業が急増中|HQ 福利厚生ナビ
- 卵子凍結、企業で支援広がる メルカリやデロイトなど|日本経済新聞
- 2026年版 タイ・バンコクの医療保険事情|ワイズデジタル



