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【タイ不妊治療ブログ】バンコク・SAFEでの着床前診断(PGT-A)|流れと費用

SAFE体験談 PGT-A検査

「バンコク不妊治療ナビ」代表のまにょです。

今回は、私たち夫婦がタイ・バンコクのSAFE Fertility Centerで実際に取り組んだ着床前診断(PGT-A)についてお話ししたいと思います。

バンコクには不妊治療クリニックが数多くありますが、その中でなぜ私たちがSAFEを選んだのか。そしてこれまでにチャレンジしてきた「タイミング法」「人工授精」などの治療については、以下の記事にまとめています。

あわせて読んでいただけると、より流れがわかりやすいと思います。

目次

これまでの不妊治療をおさらい

私たちはバンコクのSAFEで不妊治療をスタートし、

  • タイミング法:5回
  • 人工授精:3回
  • 採卵→体外受精(IMSI)

とステップアップしてきました。

その結果、最終的に11個の受精卵を凍結し、着床前診断(PGT-A)に出すことになりました。

私が調べた限りでは、タイでPGT-Aを実際に受けた人の 体験談やブログはほとんど見つからず、ネット記事でも表面的な紹介にとどまっていることが多い印象でした。

この記事では、実際の検査結果の画像や、通訳さんとのLINEやり取りまで細かく公開していきます。

我ながらかなりリアルで貴重な内容になると思うので、タイでPGT-Aを受けようか迷っている方の参考になればうれしいです。

着床前診断(PGT-A)とは?

PGT-Aとは、体外受精でできた胚(受精卵)から細胞を一部取り出して、染色体の数や異常がないかを調べる検査のことです。

染色体に異常があると、着床しなかったり、流産につながることがあります。

しかし、PGT-Aを行うことで、正常な胚を選んで移植できるため、妊娠率の向上や流産リスクの低下が期待できると言われています。

PGT-Aのリスクについて

PGT-Aは、受精卵を育てて胚盤胞になった段階で、細胞を数個だけ取り出して検査を行います。

そのため、以下のようなリスクがあると説明を受けました。

  • 細胞を取り出すことで、胚にわずかなダメージを与える可能性がある
  • 凍結・融解を伴うため、ごく稀に胚がダメージを受けることがある

もちろん、PGT-Aは世界的にも広く行われている技術で、リスクは非常に低いとされています。しかし、それでも「100%安全」とは言い切れません。

なので、SAFEでPGT-Aを受ける際にも、先生や通訳さんからメリットとリスクの両方を丁寧に説明していただきました。

「妊娠率や流産率の改善につながる一方で、検査の影響で胚がうまく育たなくなる可能性もわずかにある」

そのうえで、かなり分厚い契約書(同意書)にサインをしました。

内容は専門的で長く、正直ちょっと怖くなってしまうほどでしたが、それでもメリットの方が圧倒的に多いと思い、私たちはPGT-Aを受けることを決めました。

日本とタイのPGT-Aの違い

PGT-Aに関しては、日本とタイで大きな違いがあります。実際、「PGT-Aを受けたいから、タイで不妊治療をしようかな」と考える人も少なくありません。

日本の場合

  • 普及度が低い
    PGT-Aはまだ広く普及しておらず、限られた一部のクリニックのみで実施されています。予約も取りづらいのが現状です。
  • 情報が制限される
    結果は「移植できるかどうか」だけが伝えられるケースが多く、詳細なデータが手に入りにくいことがあります。
  • 対象条件が厳しい
    • 流産を繰り返している
    • 体外受精で何度も着床しない
      といった特定の条件を満たした場合にしか受けられません。
  • 性別は調べられない
    倫理的な観点から、性別の診断は法律で禁止されています。

タイの場合

  • 誰でも受けられる
    日本のような厳しい条件はなく、体外受精を受ける人であれば誰でも検査を選択できます。
  • 性別診断が可能
    染色体検査の過程でXXかXYか(女の子・男の子)がわかり、希望すれば性別を選んで移植することも可能です。
  • 高い技術力と実績
    SAFEをはじめとする大手クリニックでは症例数も多く、欧米に近い基準で検査が行われています。
  • 詳細なレポート
    染色体異常の有無だけでなく、詳細なレポートを受け取れる場合が多く、次の治療方針を立てやすいのが特徴です。

大きな違いまとめ

  • 日本:条件が厳しく、性別はわからない。受けられる病院もごく一部。
  • タイ:制限がなく、性別まで確認できる。検査の自由度が高く、選択肢が広い。

実際、この「産み分け」を目的に、アジアや中東からわざわざタイへ来て治療を受けるカップルも多いそうです。

私がSAFEに通っていたときも、日本人やタイ人だけでなく、中国人、インド人と見られる夫婦が多くいました。

平日でも夫婦で来院していたり、身なりの良い人が多い印象で、「海外のお金持ちの間でもタイの不妊治療は人気があるんだな…」と実感しました。

PGT-Aの費用

タイのPGT-Aは、性別までわかる高度な検査を受けられるのが大きな魅力ですが…やはり一番のネックは 「とにかく高額」 であることです。

私たちが受けた2023年当時の料金は以下の通りでした。

  • 染色体検査 1個目:4万バーツ
  • 2個目以降:1個につき1万8,000バーツ
  • 凍結 1〜3個:採卵パッケージに含まれる
  • 4個目以降:1個につき4,000バーツ

見返しても、やっぱり高い!(笑)

検査に出す個数の決断

PGT-Aでは、検査に出す受精卵の数を自分たちで決められるため、通訳さんと何度も相談して慎重に検討しました。

「費用を抑えるために数を絞るか…」
「でも、あとから『あの時もっと検査しておけば』と後悔したくない…」

悩みに悩んだ結果、最終的には受精卵11個すべてを検査に出すことに決めました。

最終的に検査&凍結でかかった費用は、全部で25万2,000バーツ。2023年当時のレートで100万円以上となりました。

改めて金額を見ると、本当にすごい出費です…。

でも「後悔しない選択をした」という意味では、必要な投資だったと思っています。

PGT-Aの流れ

採卵して顕微授精したあと、6日間かけて胚を育てながら、順次PGT-Aに出していきました。

培養5日目

まずは2個がしっかり大きくなったので検査へ。

結果と一緒に、胚の顕微鏡写真まで送ってもらえました。

この2個は成長スピードが早かったこともあって、最終的にもグレードが高い優秀な胚になり、そのうちの1つが第一子につながりました。

培養6日目

残り9個の検査結果も届きました。

  • 緑:正常
  • 黄色:モザイク胚(後で解説します)
  • 赤線:異常(abnormal)で廃棄

全部で11個検査にかけて、最終的な結果は以下の通り。

  • 正常:5個(すべて男の子)→凍結
  • モザイク胚:1個(女の子)→凍結
  • 異常:5個 → 廃棄

ちなみに、「異常」と出たものは、どの染色体に問題があったかまでは詳しく書かれていませんでした。

ただ、モザイク胚については「22番染色体が60%欠けている」とまで細かく書かれていたので、もし聞けばもっと詳しく教えてもらえたのかもしれません。

モザイク胚とは?

正常な細胞と異常な細胞が混じっている胚を「モザイク胚」と呼びます。つまり「全部が正常」でも「全部が異常」でもなく、混ざっている状態です。

モザイク胚は、正常な胚よりも妊娠率が低く、流産率が高いとされています。ただし「まったく妊娠できない」わけではなく、正常な細胞がうまく増えれば、健康な赤ちゃんに育つこともあります

実際に、モザイク胚から出産に至ったケースも世界中で報告されているそうです。

PGT-Aを受けて感じたこと

11個中5個が異常って「多いのでは?」と思うかもしれません。ですが、事前説明でも「だいたい半分くらいは異常が出る」と聞いていたので、平均的な数字のようです。

もし検査をしないで移植していたら、約50%の確率で着床しなかったり、流産につながっていたかも…と思うとゾッとしました。

それに、もし着床できたとしても、流産してしまったら…精神的にも肉体的にも、さらに大きな負担となっていたでしょう。

お金はすごくかかったけど(約100万円!)、無駄な移植や流産を避けられたと考えると、PGT-Aを受けて本当によかったなと思います。

驚きの結果:残った正常胚は全員男の子!

さらに、残った正常胚5個、なんとすべて男の子でした。

私は「健康に生まれてくれれば性別はどちらでもいい」と思っていましたが、夫は男の子希望だったので大喜び(笑)

あとから考えると、性別がそろっていると服やおもちゃを共有できてラクだな〜と、私も前向きに考えられるようになりました。

ちなみに、PGT-Aでの性別診断の正確性は約98%。「検査では男の子だったのに、生まれたら女の子だった!」ということは、まずないそうです。

産み分けは100%じゃない

タイでのPGT-Aと聞くと「好きな性別を選べる」と思う人もいるかもしれません。

でも実際には、私たちのように「男の子しか残らなかった」「女の子しか残らなかった」という結果になることもあります。

さらに「正常胚が1個しか残らなかった」というケースもあるでしょう。

なので、100%産み分けできるわけではない、ということは覚えておいた方がいいです。

次回は、いよいよ胚移植!

無事にPGT-Aも終わり、次はいよいよ胚移植のステップに進みます。

ここからが不妊治療の大きな山場。

私自身も「ついにここまで来たんだ!」という気持ちと、「うまくいくかな…」というドキドキでいっぱいでした。

タイでの不妊治療を検討している方にとっては、特に参考になる内容になると思います。ぜひ次回の記事もあわせてご覧くださいね。

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