「バンコク不妊治療ナビ」代表のまにょです。
今回は、私たち夫婦がタイ・バンコクのSAFE Fertility Centerで実際に取り組んだ体外授精(顕微授精)とIMSIについてお話ししたいと思います。
バンコクには不妊治療クリニックが数多くありますが、その中でなぜ私たちがSAFEを選んだのか。そしてこれまでにチャレンジしてきた「タイミング法」「人工授精」などの治療については、以下の記事にまとめています。
あわせて読んでいただけると、より流れがわかりやすいと思います。

これまでの不妊治療をおさらい
私たちはバンコクのSAFEで不妊治療をスタートし、
- タイミング法:5回
- 人工授精:3回
とチャレンジを重ねてきましたが、残念ながら妊娠には至りませんでした。
そしていよいよ次のステップ「体外受精」に進むべく、採卵に挑戦。
その結果、1回の採卵で23個の卵子を採取することができました。
体外受精の前に…夫の精子を選別する「IMSI」を受けることに
体外受精に進む前の検査で、夫の精子の状態が少し落ちてしまっていることがわかりました。
男性の年齢も、不妊治療においては重要
不妊治療をスタートした時、夫は35歳。そして改めて検査を受けたのは37歳のときでした。
「男性も35歳以降は精子の質が劣化する」というのはなんとなく聞いたことがありましたが、数値で見て、改めて実感しました。
「不妊=女性側の問題」というイメージを持たれがちですが、実際には男性が原因となるケースも約50%と言われています。
妊活では女性の年齢が注目されがちですが、男性の年齢も早いに越したことはないのだと改めて感じました。
もともとは顕微授精(ICSI)の予定でしたが、精子の状態を踏まえ、追加オプションの「IMSI」を受けることにしました。
「IMSI」とは?
IMSI(形態選択的顕微授精)とは、精子をより厳しく選ぶ方法のひとつです。
通常の顕微授精(ICSI)
- 顕微鏡で精子を観察し、形がよさそうな1匹を選んで卵子に注入
- 倍率:約400倍
IMSI
- 6,000倍以上の超高倍率顕微鏡で精子を観察
- 精子の頭の中にある小さな空洞(DNAに影響する欠陥)まで確認可能
- より健康な精子を厳選して卵子に注入
メリット
- 精子の質をより厳密に見極められる
- 受精率・着床率の改善が期待できる
- 流産リスクを下げる可能性がある
日本とタイでの違い
日本ではIMSIを導入しているのは一部の限られたクリニックのみで、まだ一般的ではありません。
一方、タイの大手不妊治療クリニック(SAFEなど)ではオプションとして導入されているのが一般的で、日本に比べて利用しやすく、さらに日本より高倍率の顕微鏡を使っているケースも多いのが特徴です。
私たちがIMSIを受けた2022年当時も、調べた限りでは「日本よりも高倍率で精子を選別できる」とわかりました。追加出費は正直痛かったものの、最善を尽くしたい気持ちからオプションを追加することにしました。
IMSIの金額は、2万5,000バーツ。2022年当時のレートで約10万円ほどでした。
体外受精(顕微授精)の流れ
採卵した卵子は、顕微授精(ICSI)によって精子を注入し、受精卵へと育てられます。
さらに、受精卵の殻をレーザーで少し破る「レーザーアシステッドハッチング」によって、着床しやすい状態に整えていきます。
その後は、6日間にわたる胚培養がスタート。
この間、経過は毎日LINEでレポートが届き、どのくらい受精卵が育っているかを確認することができました。
肺培養1日目
通訳さんから以下のような形でLINEレポートが送られてきました。

採卵した23個の卵子のうち、無事に受精できたのは16個。
この時点で「6日目までに胚盤胞として残るのは、だいたい8個くらいになりそうです」と教えていただきました。
胚培養3日目

16個あった受精卵は、ここで 11個にまで減少。
想定の範囲内とはいえ、やはり数が減っていくのを見るのは少し切ない気持ちになりました。
胚培養5日目

LINEには「染色性しました」とありましたが、これは染色体検査(PGT-A)用に準備をしたという意味です。
PGT-Aについては、次回の記事で詳しくご紹介します。
この時点で、11個のうち2つが十分なサイズまで成長。
残りの9個は、翌日までさらに培養が続けられることになりました。
胚培養6日目


そしていよいよ最終日。残りの9個も無事に育ってくれて、合計11個の胚盤胞が完成しました!
最初は「残るのは8個くらい」と言われていたので、それを上回る結果に。ホッとしたのと同時に、とても嬉しい気持ちになったのを覚えています。
顕微授精を振り返って
顕微授精を終えてから凍結までの6日間は、とにかくドキドキの毎日。
それまでの治療では、私だけが検索魔になって一喜一憂していたのですが、今回ばかりは夫もソワソワ。日本だけでなくアメリカなど英語圏の不妊治療情報まで読み漁って、ふたりで「確率的に残るのは◯個くらいかな?」と何度も何度も予想していました。
その背景には、IMSIを受けた安心感もありました。
「できることは全部やった」という気持ちがあったからこそ、減っていく数に一喜一憂しながらも、心のどこかでは「最善を尽くしたんだから大丈夫」と支えられていたように思います。
タイならではのサービスも、安心感があった
また調べてみると、日本のクリニックでは培養中の経過を教えてもらえず、次の診察時に「◯個凍結できました」と最終結果だけ告げられるケースもあるそうで…。これには本当に驚きました。
その点、SAFEでは通訳さんから毎日LINEでレポートが届き、わからないこともすぐ相談できて、心強いサポートを受けられました。
培養の6日間は毎日のようにやり取りしていて、丁寧に質問に答えていただけたのも、精神的にとても安心できた大きなポイントでした。
さらにドキドキのPGT-Aへ
培養の過程では、同時に PGT-A(着床前診断) の検査も進められていました。
ただ、ここから先は内容が盛りだくさんになるので、詳細は次回の記事でご紹介します。
PGT-Aは、不妊治療の中でも 日本とタイで大きな違いが出るポイント。この検査を受けるために、わざわざタイまで来る外国人カップルも多いそうです。
タイでの不妊治療を検討している方にとっては、特に参考になる内容だと思います。ぜひ次の記事もあわせてご覧くださいね。


